2011-01-01から1年間の記事一覧

ミドル・エイジ・クライシス(中年期の危機)

『論語』には 四十にして惑わず(四十歳になってあれこれ迷わず)とありますが ユングは、「成人前期」から「中年」の間の転換期は、 人生の午前(前半)から午後(後半)への移行期として 人生最大の危機になるだろうとしています。 この「中年への過渡期」…

ライフサイクル(シーヒィから)

ゲイル シーヒィ(Gail Sheehy)は、現在のライフサイクルは 昔と比べて5~10年位ずれてきているとし 次のように【成人期の新しい地図】をあらわしました。 【仮の成人期(18~30歳)】 実力だめしの20代 【第一成人期(30~45歳)】 激動の30代 繁栄の40代 …

統合性 VS 絶望統合性 VS 絶望〈 エリクソン発達理論・老年期 〉

発達段階の最後、第八期は、老年期60歳後半~です。 この時の重要な関係の範囲は、「人類」と「私の種族」です。 全ての事を手放していかなければならない時が近づき 残された人生に何をするかを問うようになります。 この時期の心理課題は『統合性 VS 絶望…

生殖性 VS 停滞性 〈 エリクソン発達理論・成人期 〉

発達段階の第七期は、成人期 40~60歳中頃です。 この時の重要な関係の範囲は、(分担する)労働と、(共有する)家庭です。 そして、この時期の心理課題は『生殖性 VS 停滞性』です。 バトンタッチされる時期となります。 縦の関係の中で、親や指導者となる…

親密 VS 孤立 〈 エリクソン発達理論・前成人期 〉

発達段階の第六期は、前成人期 20~30歳台のころです。 この時の重要な関係の範囲は、友情、性愛、競争、協力の関係におけるパートナーです。 この期では、前期でアイデンティティの確立が、いかに出来ているかがポイントになります。 確立しているものは、…

同一性 VS 同一性の混乱 4 青年期前・後期 〈エリクソン発達理論・青年期 〉

【青年期前期】は18~20歳頃 【青年期後期】は19~24歳頃でしょうか? この辺りは、『1』で書いたように猶予期間(モラトリアム)が長くなり この青年期と、次の前成人期が年齢で分けにくくなっています。 個人差が大きいという方が適切かもしれません。 【…

同一性 VS 同一性の混乱 3 思春期後期〈 エリクソン発達理論・青年期 〉

【思春期後期】は高校生の頃になります。 自立するために、物理的にも心理的にも親からの距離が開き 親とは違う自分を見つけるために、共感してくれる人を探そうとします。 友だちの占める割合が大きくなって 中学生の時が、親:友=6~7:4~3くらい 高校生…

同一性 VS 同一性の混乱 2 思春期前期〈 エリクソン発達理論・青年期 〉2011.06.09

発達段階の第五期は青年期です。 この期には【思春期前期】【思春期後期】【青年期前期】【青年期後期】が含まれます。 このうち思春期は、子どもから大人への橋渡しの時期になります。 第二の分離期で、とても大切な時期です。 第一の分離期は幼児期初期の…

同一性 VS 同一性の混乱 1 〈エリクソン発達理論・青年期〉

発達段階の第五期は、青年期です。 思春期(11歳位)~若い成人期(24歳位?)の頃です。 現代の日本では、どこまでを青年期(思春期)とするかは判断が困難です。 豊かで(不況とかとは別の観点です)、複雑な、日本の状況が思春期を長引かせています。 14…

臨界期(critical period)~危機を克服する過程~

思春期に入る前に、ここで臨界期について・・・。 各発達段階における精神的発達の課題がありますが それはその時期において最も優勢になる危機であることを示しています。 そして、各発達段階における、危機を克服する過程は 臨界期的な問題を示していると…

勤勉性 VS 劣等感〈 エリクソン発達理論・学童期 〉

発達段階の第四期は、学童期です。6歳頃~思春期の頃です。 この時の重要な関係の範囲は、近隣・学校です。 更なる身体的発達、そして認知・自我・社会性の発達が見られます。 幼児期後期の集団遊びで得た社会性を基礎にして 更なる社会性を身につけるための…

自主性 VS 罪悪感〈 エリクソン発達理論・幼児期後期 〉

発達段階の第三期は、幼児期後期(遊戯期) だいたい3~5・6歳ころです。 この時の重要な他者は、家族です。 この頃になると、体力や筋力がついてきてきます。 言語能力も上がり、様々な疑問が生じる頃でもあり 好奇心と、道徳的なこだわりから「なぜ?なに…

自律性 VS 恥・疑惑 2〈 エリクソン発達理論・幼児期前期 〉

1~3歳のこの時期は、 体はハイハイから歩くようになることで、自分の意志で動き 欲しいものを手に入れることが出来るようになります。 また、「イヤ」の時でもあります。 「イヤ」と人の気分を害することを言って、自分の欲求を押し通しても 嫌われたり、捨…

自律性 VS 恥・疑惑1〈 エリクソン発達理論・幼児期前期 〉

昨年、エリクソンの発達理論について書き始めていたものの 心の中に迷いがあって、続きを書けずにいました。 最近、改めて出会ったのでこれを機会に書いて行こうと思います。 発達段階の第二期は、幼児期前(初)期 だいたい1~3歳ころです。 この時の重要な…

レイチェル・カーソン

レイチェル・カーソンと言えば、『沈黙の春』(1962年)が有名です。 環境汚染と破壊の実態を告発したこの本は、世界で初めて環境問題を提起した本で この本を書いた彼女がいなければ「環境保護運動は20年は遅れていた」と言われています。残念ながら、この…

石牟礼道子さん。

石牟礼道子さんといえば水俣病のことを連想される方が多いでしょう。 確かに代表作は1969年に発表された『苦海浄土』そしてそれに続く『天の魚』(1974)『椿の海の記』(1976)になるでしょうか? けれども、わたしの石牟礼道子さんとの出会いは20歳の時。…

有機水銀分解菌 ~自然の持つ力・浄化2~

熊本県水俣市の水俣湾は、チッソ工場の排水に含まれるメチル水銀により1956年、水銀公害といわれる水俣病が発生し、悲劇の海となりました。 世代をまたいで周辺地域に住む方々、魚を捕食する動物に被害を与え海は汚染魚を封じ込める網で仕切られ、地元漁師の…

希望 ~『ビリーヴ』~

人が人と出会い、言葉を交わし、情報を交換し、 その後のその人との関わり方を模索していきます。 その間に信頼があってこそ、その後の様々な展開が可能になっていくのだと思います。 信頼感がなければ、待ち合わせも出来ません。 そしてその信頼感は人に対…

喪失と悲しみの心理 3

悲しみの心理については、アルフォンス・デーケン神父(上智大学名誉教授)がカウンセリングに携わった体験から『悲嘆のプロセス』と呼ばれる一連の情緒的反応を以下のように12段階に分析されてます。 このプロセスを消化しながら、立ち直っていくとされます…

喪失と悲しみの心理 2

喪失感との和解の作業をするとは フロイトが自分自身の体験に基づく無意識の自己分析を通して 『喪の仕事』と表現し、その目的は次のように定義されました。 「愛する対象の死に出会った場合に必要なのは、この死の必然と和解し死を受け入れるということであ…

喪失と悲しみの心理 1

東日本大震災の報道に接しながら 日本全体が喪失感と悲しみに包まれているように感じます。 けれども、その中から 希望の灯があちこちで、ポツリポツリと点灯され その火がどんどん広がっていく温かさも感じます。 各々の方の持つ、意味あるものが失われた時…

レジリアンス(Resilience)

電車の車窓から穏やかに流れる 日常の生活を眺めていました。 このような普通の生活が一変したのだと 改めて我が身に引き寄せて感じていました。 【レジリアンス(Resilience)】 元は材料物理学用語。衝撃に対して抵抗し、反発エネルギーを放つ力を表します…

整体観(全体観) 

中医学における大切な考え方の一つに、【整体観(全体観)】があります。 これは、個々のものが繋がって一つの全体が出来上がっている という考え方です。 人と自然との全体の関係を重視し 人の体も、自然も同じ法則で動いていると考えます。 自然の中に存在…

七情(しちじょう)

中医学においては疾病の原因になる病因のうち 感情や精神の行き過ぎた起伏が引き起こすものを 『内因』と言います。 それは七情と呼ばれる、7種類のものです。 その7種類とは【喜、怒、思、憂、悲、恐、驚】です。 『黄帝内経』ではこれら七情と五臓の関係を…

人が育つということ

『論語』には 十有五にして学に志す(十五歳で学問に志し) 三十にして立つ(三十になって独立した立場を持ち) 四十にして惑わず(四十になってあれこれ迷わず) 五十にして天命を知る(五十になって天命をわきまえ) 六十にして耳順がう(六十になって人の…