『論語』には
四十にして惑わず(四十歳になってあれこれ迷わず)とありますが
ユングは、「成人前期」から「中年」の間の転換期は、
人生の午前(前半)から午後(後半)への移行期として
人生最大の危機になるだろうとしています。
この「中年への過渡期」(40~45歳)には80%位の人が
こころの激変を経験しているという方もいます。
ゲイル シーヒィ(Gail Sheehy)は、
女性はもう少し早い35歳ごろから中年期の危機が始まるとしています。
それはこの時期は、それまでの内面的な自立から
社会の中での自立する時期になるからです。
自分の思い描いたような人生になって未来に続いているか否か・・・
まさに、人生の午後になり自分の影を見ながら歩く時なのです。
女性はそのことに更に、担う役割の多重さによる悩みが、
男性とは異なるものにします。
エリクソンによると、この期の発達課題から得るGiftは『世話(care)』で
人の世話をすることが、同時に自分自身を成熟させることですが
このケア役割が問題を生むともいえるでしょう。
「仕事を続けるか、辞めるか」「子どもを産むか、産まないか」など
女性だけの葛藤が加わるのです。
この「中年への過渡期」の発達課題は以下の3つです。(レビンソンより)
1.成人前期の発達期を終わらせる。
2.中年期の開始に向かって第一歩を踏み出す。
3.人生の後半に入ったことによる、大きな心理的な問題を解決する。
レビンソンは男性のみを対象にした聞き取りによる理論のため
女性特有の問題については、含まれていないので考慮する必要があります。