心理学

スラッグ渓谷の朝「ハトと少年」

昨日まで参加していた研修での出来事は 私にとってまさに 【意味のある偶然の一致】 でした。 タイトルに挙げた、『スラッグ渓谷の朝「ハトと少年」』は ジブリ映画『天空の城ラピュタ』で少年パズーが吹いていたトランペットの曲です。 パズーが吹くこのト…

学童期 発達段階

8月になり、土用の二乃丑なる日も過ぎ暦上の暑さも真っ盛りの、大暑の候です。 今は大暑も末候(36候)「大雨時行(たいうときどきふる)-時として大雨が降る-」の時です。時として・・・ではない、日本各地の大雨が憂われます。 大気の状態が不安定で、突然…

ミドル・エイジ・クライシス(中年期の危機)

『論語』には 四十にして惑わず(四十歳になってあれこれ迷わず)とありますが ユングは、「成人前期」から「中年」の間の転換期は、 人生の午前(前半)から午後(後半)への移行期として 人生最大の危機になるだろうとしています。 この「中年への過渡期」…

ライフサイクル(シーヒィから)

ゲイル シーヒィ(Gail Sheehy)は、現在のライフサイクルは 昔と比べて5~10年位ずれてきているとし 次のように【成人期の新しい地図】をあらわしました。 【仮の成人期(18~30歳)】 実力だめしの20代 【第一成人期(30~45歳)】 激動の30代 繁栄の40代 …

統合性 VS 絶望統合性 VS 絶望〈 エリクソン発達理論・老年期 〉

発達段階の最後、第八期は、老年期60歳後半~です。 この時の重要な関係の範囲は、「人類」と「私の種族」です。 全ての事を手放していかなければならない時が近づき 残された人生に何をするかを問うようになります。 この時期の心理課題は『統合性 VS 絶望…

生殖性 VS 停滞性 〈 エリクソン発達理論・成人期 〉

発達段階の第七期は、成人期 40~60歳中頃です。 この時の重要な関係の範囲は、(分担する)労働と、(共有する)家庭です。 そして、この時期の心理課題は『生殖性 VS 停滞性』です。 バトンタッチされる時期となります。 縦の関係の中で、親や指導者となる…

親密 VS 孤立 〈 エリクソン発達理論・前成人期 〉

発達段階の第六期は、前成人期 20~30歳台のころです。 この時の重要な関係の範囲は、友情、性愛、競争、協力の関係におけるパートナーです。 この期では、前期でアイデンティティの確立が、いかに出来ているかがポイントになります。 確立しているものは、…

同一性 VS 同一性の混乱 4 青年期前・後期 〈エリクソン発達理論・青年期 〉

【青年期前期】は18~20歳頃 【青年期後期】は19~24歳頃でしょうか? この辺りは、『1』で書いたように猶予期間(モラトリアム)が長くなり この青年期と、次の前成人期が年齢で分けにくくなっています。 個人差が大きいという方が適切かもしれません。 【…

同一性 VS 同一性の混乱 3 思春期後期〈 エリクソン発達理論・青年期 〉

【思春期後期】は高校生の頃になります。 自立するために、物理的にも心理的にも親からの距離が開き 親とは違う自分を見つけるために、共感してくれる人を探そうとします。 友だちの占める割合が大きくなって 中学生の時が、親:友=6~7:4~3くらい 高校生…

同一性 VS 同一性の混乱 2 思春期前期〈 エリクソン発達理論・青年期 〉2011.06.09

発達段階の第五期は青年期です。 この期には【思春期前期】【思春期後期】【青年期前期】【青年期後期】が含まれます。 このうち思春期は、子どもから大人への橋渡しの時期になります。 第二の分離期で、とても大切な時期です。 第一の分離期は幼児期初期の…

同一性 VS 同一性の混乱 1 〈エリクソン発達理論・青年期〉

発達段階の第五期は、青年期です。 思春期(11歳位)~若い成人期(24歳位?)の頃です。 現代の日本では、どこまでを青年期(思春期)とするかは判断が困難です。 豊かで(不況とかとは別の観点です)、複雑な、日本の状況が思春期を長引かせています。 14…

臨界期(critical period)~危機を克服する過程~

思春期に入る前に、ここで臨界期について・・・。 各発達段階における精神的発達の課題がありますが それはその時期において最も優勢になる危機であることを示しています。 そして、各発達段階における、危機を克服する過程は 臨界期的な問題を示していると…

勤勉性 VS 劣等感〈 エリクソン発達理論・学童期 〉

発達段階の第四期は、学童期です。6歳頃~思春期の頃です。 この時の重要な関係の範囲は、近隣・学校です。 更なる身体的発達、そして認知・自我・社会性の発達が見られます。 幼児期後期の集団遊びで得た社会性を基礎にして 更なる社会性を身につけるための…

自主性 VS 罪悪感〈 エリクソン発達理論・幼児期後期 〉

発達段階の第三期は、幼児期後期(遊戯期) だいたい3~5・6歳ころです。 この時の重要な他者は、家族です。 この頃になると、体力や筋力がついてきてきます。 言語能力も上がり、様々な疑問が生じる頃でもあり 好奇心と、道徳的なこだわりから「なぜ?なに…

自律性 VS 恥・疑惑 2〈 エリクソン発達理論・幼児期前期 〉

1~3歳のこの時期は、 体はハイハイから歩くようになることで、自分の意志で動き 欲しいものを手に入れることが出来るようになります。 また、「イヤ」の時でもあります。 「イヤ」と人の気分を害することを言って、自分の欲求を押し通しても 嫌われたり、捨…

自律性 VS 恥・疑惑1〈 エリクソン発達理論・幼児期前期 〉

昨年、エリクソンの発達理論について書き始めていたものの 心の中に迷いがあって、続きを書けずにいました。 最近、改めて出会ったのでこれを機会に書いて行こうと思います。 発達段階の第二期は、幼児期前(初)期 だいたい1~3歳ころです。 この時の重要な…

喪失と悲しみの心理 3

悲しみの心理については、アルフォンス・デーケン神父(上智大学名誉教授)がカウンセリングに携わった体験から『悲嘆のプロセス』と呼ばれる一連の情緒的反応を以下のように12段階に分析されてます。 このプロセスを消化しながら、立ち直っていくとされます…

喪失と悲しみの心理 2

喪失感との和解の作業をするとは フロイトが自分自身の体験に基づく無意識の自己分析を通して 『喪の仕事』と表現し、その目的は次のように定義されました。 「愛する対象の死に出会った場合に必要なのは、この死の必然と和解し死を受け入れるということであ…

喪失と悲しみの心理 1

東日本大震災の報道に接しながら 日本全体が喪失感と悲しみに包まれているように感じます。 けれども、その中から 希望の灯があちこちで、ポツリポツリと点灯され その火がどんどん広がっていく温かさも感じます。 各々の方の持つ、意味あるものが失われた時…

トラウマとPTSD 7【PTSDと治療】

6回にわたって、『トラウマとPTSD』について書いてきました。 今回で最後です。 PTSDに対する対処方法は、その原因になった出来事によっても異なります。 また、それからの経過時間やケアできる質や量によっても異なります。 しかしそれらの症状に共通するの…

トラウマとPTSD 6【PTSDと症状4】

PTSDの大きな3つ症状の最後です。 【過覚醒】について。 危険な状態にさらされたとき、体の中では アドレナリンという物質が分泌され、交感神経が優位になります。 これは、体が緊張状態にあることを示します。 過覚醒の状態はトラウマ体験の時になっていた…

トラウマとPTSD 5【PTSDと症状3】

きのうのPTSDの症状【再体験】につづいて、 きょうは 【感覚鈍麻と回避】について。 このふたつは、極度に強い感情をコントロールし こころが生き残るための、自然な反応(一種の防衛反応)です。 【感覚鈍麻】の反応は、出来事から数日間続くこともあります…

トラウマとPTSD 4【PTSDと症状2】

PTSDの3つの症状のうち、今回は【再体験】について。 ★記憶の再生 望まないときに、トラウマ体験の全体あるいは一部が 繰り返し甦ってきます。 この事によりその時の感覚や考えが繰り返し浮かびます。 例えば、恐怖・パニック・怒り・無力感・悲しみ・嫌悪、…

トラウマとPTSD 3【PTSDと症状1】

PTSDの症状は、大きく3つのグループに分けられます。 【再体験】 【感覚鈍麻と回避】 【過覚醒】 これらは、トラウマ体験はまだ本人の気持ちの中では再現されており 客観的に見れば外傷の“後”に見えても 気持ちはその出来事のまっただ中にいる状態です。 ト…

トラウマとPTSD 2【トラウマ反応とPTSD】

【PTSD(心的)外傷後ストレス障害 Post-Traumtic Stress Disorder】とは トラウマによって生じる精神的な障害です。 トラウマによって生じる結果には様々なものがあります。 PTSDがトラウマ反応の全てではありません。 (たとえば、“引きこもり”や“慢性的な…

トラウマとPTSD 1【ストレスとトラウマ】

PTSDについて質問を頂きましたのでお答えします。 心身に不快に感じる要因をストレス〈Stress〉と呼びます。 それが非常に強い心的な衝撃を与える場合 その体験(災害、犯罪、暴力、虐待など)が過ぎ去ったあとも体験が記憶の中に残り、 強い恐怖感・無気力…

シンクロニシティ

シンクロニシティとは、 カール・ユングによって提唱された(独: Synchronizität)という概念の英訳(英:Synchronicity)です。 日本では「共時性(きょうじせい)」と訳されています。 因果性は、何らかの関係があることにより起ってくることですが シンク…

シンクロニシティ

シンクロニシティとは、 カール・ユングによって提唱された(独: Synchronizität)という概念の英訳(英:Synchronicity)です。 日本では「共時性(きょうじせい)」と訳されています。 因果性は、何らかの関係があることにより起ってくることですが シンク…

ライフサイクル(レビンソンから)

きのうは、ユングのライフサイクル理論について紹介致しました。 それを実証的に考えたのがレビンソンでした。 レビンソンは以下のように人生を4つに分けました。 1.児童期と青年期(0~22歳) 2.成人前期(17~45歳) ・成人への過渡期 (17~22歳) ・お…

ライフサイクル(ユングから)

きのう、人生の四季について少し書きましたが、人の一生については色々な方が、色々な見方で紹介されています。 ユング(1875-1961)は、『人生の階段』の中で人生を一日の太陽の運行になぞらえ、人生を4つの時期に分けました。 4つの時期とは「少年」「成…