同一性 VS 同一性の混乱 1 〈エリクソン発達理論・青年期〉

発達段階の第五期は、青年期です。

思春期(11歳位)~若い成人期(24歳位?)の頃です。


現代の日本では、どこまでを青年期(思春期)とするかは判断が困難です。

豊かで(不況とかとは別の観点です)、複雑な、日本の状況が
思春期を長引かせています。

14歳で元服、明日から大人といったことはなくなりました。

20歳の成人式でも、明日から大人にはなれません。


肉体的には大人になっても、精神的・経済的には大人になれず

迷いや模索を続ける猶予期間(モラトリアム)が長びくようになりました。

しいてどこまでと言うのであれば、

引きこもり対策の適応される32歳までなのでしょうか?


この時の重要な関係の範囲は、仲間集団と外集団(リーダシップの諸モデル)です。

この時期は、こころもからだも人生の大波の時です。

そのなか、これまでの各期で身に付けてきた精神的な葛藤が再活性化し

自分自身の中で問い続けることになります。


そのためには、それまでの発達課題が積み上がっていることが必要です。

「わたしは、何者か?」

これを自分自身に問いかけるのですが、自問自答するよりも

他者との関わり中で問いかけ、育まれる方が、発見し易いようです。


この発達段階の課題を獲得することで得られるGiftは『忠誠(fidelity)』です。

自分にとっても誠実であり、大切な他者にとっても誠実であり続けながら
自分の力を発揮できる能力です。

自分が自分であるということ。自分の存在意識がわかるということ。

この自己同一性(アイデンティティ)の確立が、後の人生を左右します。


この期は【思春期前期】【思春期後期】【青年期前期】【青年期後期】が含まれます。

精神的な分離期です。一つづつ見ていきたいと思います。

後に続きます。