基本的信頼 VS 不信〈エリクソン発達理論・乳児期〉

1歳になるまでの乳児期に一番優先される発達課題です。
この時の重要な他者は、母親的人物です。

「自分の周りには、自分のことを大切に扱ってくれる人がいる」=信頼
「自分の周りは、自分に敵対的な人で満ちている」=不信

具体的に言うと、お腹がすいた赤ちゃんは泣きながらお腹がすいていることを知らせ、同時にこのサインを受け取ってくれるだろうか?(不信)と感じています。

聞きつけて、誰かが来てくれる。お腹がすいていることを理解してミルクをくれる。
ここで信頼感が生まれます。
このことを、何度も繰り返しながら基本的信頼感を身につけていきます。

では、不信の感情がなければよいと思いがちですがそうではありません。
社会の中で生きていくためには不信の感情もなければ、人を信用し過ぎて、騙されやすくなったり自分を尊大に考えて自己中心的になります。
『 信頼 6 : 不信 4 』
この割合くらいが安定していて、自分を守ることが出来ます。
このあたりが、陰陽学説の陰陽のバランスとは異なるところです。
陰陽学説の場合の半々のバランスは、発達理論の中では一番不安定な状態とされています。

この『基本的信頼』を獲得することで、得られるGiftは『希望(hope)』です。
これは、人格の一番の根底を支えるために存在する安定感・自己信頼感です。
人生の危機に際して、絶望・苦境の淵から立ち直るために、この『希望(hope)』は大切な役割を果たします。

自分の存在に対する問いかけは、ある意味生涯にわたる課題です。
その時に「信じる人がいるといる」という信頼感が支えになります。
また一方で、不信感もそれを打破して進もうという力を生み出します。
そのどちらもが『希望(hope)』に支えられています。

この課題は、1歳になるまでの乳児期の課題ですが、この時に身に付かなかったからといって、付かないままになるのではありません。
いつでも気付いた時、機会あるごとに身につけ厚みを増していくことが出来ます。
順番として、乳児期に身につけるのがスムーズだということです。
歯が生えるときに、順番通り生える方がうまく揃うというのと同じだと説明されています。

『発達理論 (フロイトエリクソンの視点)(2010-07-08)』

『天癸(2010-07-11)』